第13回日本アレルギー学会春季臨床大会


インターネットWebサイトを用いた花粉症情報の、スギ花粉大量飛散年における有用性の検討

今井 透1、稲葉 岳也2、片山 昇2、小澤 仁2、小野 幹夫2、野原 修2、遠藤 朝彦2

1聖路加病院 耳鼻科、2慈恵医大 耳鼻科

【目的】 インターネットでの花粉症情報提供が、患者の花粉症対策に有用であることを以前報告した。スギ花粉の大量飛散年においても、同様の有用性が得られるか否かを平成12年春に検討した。【方法と結果】 平成9年より「慈恵医大耳鼻科の花粉症のページ」というWebサイトを開き、花粉症情報を発信した。平成12年の品川でのスギ花粉飛散数は5317個/cm2/シーズンで、前年の9倍と大量に飛散した。シーズン中のWebサイトへのアクセス数は32万件、電子医療相談は230件、電子調査の回答者は264名といずれも前年より3−4倍と増加した。「Webサイトで提供した情報が症状の軽減化に役立つか否か」という質問には49.6%が著効または有効、93.2%がやや有効以上と答えた。花粉症情報の有用性は大量飛散年にも当てはまった。その理由としては主に「花粉回避」と「適切な薬物の適宜な使用」が挙げられ、基本的な対策を必要な時期に継続して行うことの重要性が感じられた。【結論】花粉の大量飛散年ほど花粉症情報の需要が高く、また有効に活用した際には症状の軽減化に役立つことが窺われた。花粉症情報は医療機関などの治療を補い、症状軽減化に役立つものと考えられた。