ABSTRACT 53(2-2)
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バーキットリンパ腫細胞Akataの悪性形質とapoptosis抵抗性におけるEBERs RNAの役割:駒野 淳1, 丸尾 聖爾1, 佐藤 伸哉2, 下遠野 邦忠2, 高田賢蔵11北大・医・癌研ウイルス, 2京大・ウイルス研)

The role of EBERs RNA in the malignant phenotype and resistance to apoptosis of Burkitt's lymphoma cell line Akata : Jun KOMANO1, Seiji MARUO1, Shinya SATOH2, Kunitada Shimotono2, Kenzo TAKADA1 (1Dep. of Virol., Cancer Inst., Hokkaido Univ. Sch. of Med., 2Dep. of Viral Oncol., Inst. for Virus Res., Kyoto Univ.)

 バーキットリンパ腫(BL)細胞株Akataは、BL型EBV感染様式(EBNA1、EBERs、BARF0、LMP2Aのみ発現)をin vitroで維持するユニークなBL細胞株である。Akata細胞はEBV陽性細胞から陰性クローンを分離できること、これにEBVを再感染するとBL型感染様式を再現できることに、他のBL細胞株に類をみない特徴を持つ。我々は以前にこの性質を利用して、BL細胞の悪性形質とapoptosis抵抗性がEBVにより付与されることを世界で初めて証明した。
今回我々は、いずれのウイルス遺伝子がこれらの形質に関与しているのかを検索した。EBV陰性細胞にEBNA1、EBERs RNA遺伝子を導入し、発現細胞をG418耐性にて選択した。vectorのみを導入した細胞を陰性コントロール、EBV再感染細胞を陽性コントロールとした。これらを軟寒天中におけるコロニー形成能、apoptosis誘導刺激後の細胞生存率において比較した。その結果、EBNA1は悪性形質、apoptosis抵抗性ともに関与していなかったが、EBERsは陽性コントロールと比較すると細胞に半分程度の活性を再現させることができた。この機構は、EBERs RNAが癌抑制遺伝子として知られるPKRと結合して、この活性を抑制するためであることが示唆された。