ABSTRACT 55(2-2)
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ラット感染モデルを用いたHTLV-I関連疾患の検討;HTLV-I感染ラットの慢性進行性脊髄末梢神経症(HAMラット病)の解析: 外丸詩野,池田 仁,森田啓介,姜 綉雲,大矢 宰,山下 功,笠井武史,脇坂明美,吉木 敬(北大・医・第一病理)

Mechanisms involved in HTLV-I-induced myeloneuropathy in rats: Utano TOMARU, Hitoshi IKEDA, Keisuke MORITA, Xiuyun JIANG, Osamu OHYA, Isao YAMASHITA, Takehumi KASAI, Akemi WAKISAKA, Takashi YOSHIKI (Dept.of pathol. Hokkaido Univ.Sch. Med.)

【目的】WKAHラットにHTLV-Iを感染させると慢性進行性の脱髄疾患が誘導され,脊髄にはウイルス接種7ヶ月頃よりHTLV-I pX領域のメッセージ発現とオリゴデンドロサイトを主体としたアポトーシス細胞の出現を認める.昨年までの本学会で,WKAH感染ラット脊髄にアポトーシス関連因子の変化を認めたことを報告したが,今回,疾患発症WKAHラットと非発症ACI,LEWラットの系統差について,定量的RT-PCR法を用いpX,TNF-α,bcl-2メッセージの変化を検討した.
【材料と方法】各感染ラットの脊髄を用い,競合PCRによりmRNAの発現量を検討した.
【結果】WKAH感染ラットでは感染後7ヶ月よりpX,TNF-α発現の増強を認め,TNF-αの発現量は持続的に高値であった.bcl-2は7ヶ月より一過性に発現の低下を示した.ACI,LEWラットではpX,TNF-α mRNAともに微量の検出を見るのみで,bcl-2の変化も乏しかった.
【考察】HAMラット病の脱髄機構としてbcl-2の抑制とHTLV-I Taxの発現による直接的な,あるいはTaxに誘導されたTNF-αを介するオリゴデンドロサイトのアポトーシスが本疾患の病態として重要であると考えられた.