ABSTRACT 58(2-2)
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成人T細胞性白血病の発症、進展におけるp16のメチル化の関与:野坂生郷、松岡雅雄、江藤健一郎、田宮貞宏、満屋裕明(熊本大・医・第二内科)

Role of methylation of p16 gene in the progression of adult T-cell leukemia: Kisato NOSAKA, Masao MATSUOKA, Kenichiro ETOH, Sadahiro TAMIYA, Hiroaki MITSUYA (2nd Dept. , Int. Med., Kumamoto Univ.)

p16遺伝子は細胞周期抑制因子として知られており、各種悪性腫瘍においてp16遺伝子の不活化が認められ、その機序として遺伝子の欠損やプロモ−タ−部位のメチル化が報告されている。今回我々は成人T細胞性白血病におけるp16遺伝子のプロモーター部位のメチル化を臨床病期との関連から検討したので報告する。(方法)ATL細胞株19例、ATL症例67例(急性型37例、リンパ腫型8例、慢性型16例、くすぶり型6例)のDNAをMethylation specific PCR法、サザンブロット法を利用してp16遺伝子のプロモーター部位のメチル化を検出した。さらにsodium bisulfiteで処理したDNAを用いて塩基配列を決定しメチル化の検討を行った。(結果)PCR法においてp16では細胞株19株中16株(84%)にメチル化が検出された。メチル化がみられない細胞株はいずれも非白血病由来のものであり、白血病細胞由来細胞株では全例メチル化が存在した。ATL症例については急性型でメチル化が18例(49%)、欠損が7例(20%)、リンパ腫型ではメチル化が5例(73%)認められた。慢性型では2例(17%)にメチル化がみられた。健常人、HTLV-Iキャリアリンパ球では全く認められなかった。サザン法による解析についても同様の結果が得られた。sequenceの検索ではCpG部位によってメチル化の認められる部位と認められない部位がみられた。(考察)ATLにおいてp16遺伝子の不活性化は欠損よりむしろメチル化によって高頻度におこっており悪性度との関連が示唆されp16遺伝子のメチル化はATLの進展に関連しているものと考えられた。さらにCpG部位により異なるメチル化がみられ、メチル化が部分的におこっていることが示唆された。