ABSTRACT 60(2-2)
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タンニン酸のマウス乳癌ウィルス遺伝子発現抑制:内海 文彰, 田沼 靖一(東京理科大・薬・生化)

Inhibitory effect of tannic acid on mouse mammary tumor virus gene expression : Fumiaki UCHIUMI, and Sei-ichi TANUMA (Dept. Biochem., Sci. Univ. Tokyo)

昨年の本大会において我々はマウス乳癌ウィルス(MMTV)遺伝子プロモーター中の 50-bp 領域にタンニン酸に応答する抑制エレメントが存在することを示した。また、タンニン酸で処理したマウス上皮細胞株 L929 細胞中にはこの領域に結合する因子が約 2 時間後より誘導され、8 時間後にピークを迎えることをゲルシフトアッセイ法により明らかにした。
今回我々はこの 50-bp 領域を詳細に解析した結果、抑制エレメントとしての ACTG 配列とタンニン酸感受性を担う 13-bp エレメントが含まれることをレポータープラスミドを用いたトランジエントな遺伝子導入系から見い出した。また結合因子の塩基配列特異性についても点突然変異導入により解析した。さらにラット脾臓 cDNA ライブラリーに対しこの 50-bp エレメントをプローブとしてサウスウエスタンスクリーニングを行った結果、ひとつのポジティブクローンが得られた。この cDNA の全塩基配列を決定した結果、このクローンが DNA ヘリカーゼの一部をコードしていることが明らかとなった。現在この遺伝子全長をクローニングしており、その遺伝子発現の変動やこの DNA ヘリカーゼによるウイルス遺伝子の転写に対する影響についても検討を加える予定である。