ABSTRACT 62(3)
多臓器中期発癌性試験法における24R,25-dehydroxyvitamin D3〔24,25(OH)2D3〕の発癌抑制作用の検討:谷山哲秀,サリム エリサイド,鰐渕英機,山本晋史,福島昭治(大阪市大・医・1病理)
The inhibitory effect of 24R,25-dehydroxyvitamin D3 in rat multi-organ carcinogenesis model: Tetsuhide TANIYAMA,Elsayed I SALIM,Hideki WANIBUCHI,Shinji YAMAMOTO,Shoji FUKUSHIMA (Dept. of pathology,Osaka City Univ. Med. Sch.)
【目的】大腸癌の抑制にはカルシウム、ビタミンDなどの摂取が重要な役割を担っていると言われている。我々は大腸発癌物質投与後の24,25-(OH)2D3投与がラット大腸変異クリプト巣を用量相関的に抑制することを見出している。そこで今回は24,25(OH)2D3がラット大腸癌の発生を抑制するか否か、また他の臓器に対する影響を検討した。【方法】6週齢のF344ラット雄68匹を用い、5種類の発癌物質を4週の間に投与した後25週間24,25(OH)2D3を5,1,0ppmの濃度にて混餌投与し,全身諸臓器における腫瘍及び前腫瘍病変の発生を検索した。【結果】24,25(OH)2D35ppm投与群では有意に大腸腫瘍の発生率及び発生数において抑制効果が認められ、また1ppm投与群においても抑制傾向が認められた。他の臓器においては腫瘍の促進及び抑制効果を全く認めなかった。【結論】24,25(OH)2D3は、ラット大腸発癌を抑制することが確証された。しかも他の臓器の発癌促進効果を示さないことが明らかとなった。