ABSTRACT 64(3)
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植物由来女性ホルモン活性物質genistin/genisteinおよびdaidzin/daidzeinのラット前立腺癌に対する抑制作用:白井智之、崔林、小木曽正、加藤浩司、二口 充、高橋 智(名市大・医・1病理)

Inhibitory effects of phytoestrogens, genistin/genistein and daidzin/daidzein on rat prostate carcinogenesis : Tomoyuki SHIRAI, Lin CUI, Tadashi OGISO, Koji KATO, Mitsuru FUTAKUCHI, Satoru TAKAHASHI (1st. Dept. Pathol., Nagoya City Univ. Med. Sch.)

[目的] 大豆などに含まれるイソフラボンである植物由来女性ホルモン活性物質は日本男性におけるヒト前立腺の腫瘍発生抑制の一因と考えられている。そこで、genistin/genisteinおよびdaidzin/daidzeinについてラット前立腺癌発生に対する抑制作用の有無について検討した。[方法] 6週齢のF344雄ラットを1群20匹として、第1-6群にはDMAB 50mg/kgを2週間毎に10回皮下投与した後、第1群は無処置対象群とし、第2群には0.1%genistin/genisteinを、第3群には0.1%daidzin/daidzeinを、また、4-6群にはDMAB投与後testosterone propionete(TP)を投与し、浸潤癌発生に対し、第4群にはTPを、第5、6群にはTPと0.1% genistin/genisteinあるいは0.1%daidzin/daidzeinを40週間混餌投与した。第7-10群はそれぞれの対照群で、全経過60週で屠殺剖検した。[結果] DMAB単独群では前立腺癌は腹葉にのみ認められ、その頻度は46%であった。それに対しDMAB→TP群では腹葉癌は認められず、背側葉にも浸潤癌が観察されなかった。一方、genistin/genisteinとdaidzin/daidzein投与により、その頻度は14%へ減少した。背側葉癌は認められなかった。TP+genistin/genisteinとTP+daidzin/daidzein群では浸潤癌(前葉前立腺と精嚢)の発生は変化しなかった。[考察] DMAB前立腺癌の発生に対してgenistin/genisteinとdaidzin/daidzeinの投与は腹葉癌の発生を抑制した。しかし、浸潤癌の発生に対しては抑制効果は見い出せず、今後の検討が必要である。