ABSTRACT 67(3)
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N-Butyl-N-(4-hydroxybutyl)nitrosamine (BBN)によるラット膀胱癌の発生に対する選択的 cyclooxygenase(COX)-2 阻害剤 nimesulide(NIM)の抑制効果と膀胱癌でのCOX-2蛋白質の発現:北山若紫1, 岡島英二郎1, 2, 傳田阿由美1, 大園誠一郎2, 辻内俊文1, 佐々木康孝1, 赤井弘幸1, 小西陽一11奈良医大・がんセ・腫瘍病理, 2同・泌尿器科)

Chemopreventive effects of nimesulide, a selective cyclooxygenase (COX)-2 inhibitor, on the development of rat urinary bladder carcinomas initiated by N-Butil-N-(4-hydroxybutyl) nitrosamine and expression of COX-2 protein in the bladder tumors : Wakashi KITAYAMA1, Eijiro OKAJIMA1,2, Ayumi DENDA1, Seiichiro OZONO2, Toshifumi TUJIUCHI1, Yasutaka SASAKI1, Hiroyuki AKAI1, Yoichi KONISHI1, (1Dept. of Oncological Pathology, Cancer Center, 2Dept. of Urology, Nara Med. Univ.)

非ステロイド性抗炎症剤のpiroxicamが、BBNによるラット膀胱癌の発生を抑制する事を報告してきた。今回は、BBNによるラット膀胱癌発生機構へのCOX-2の関与を検索する目的で、COX-2の選択的阻害剤NIMの膀胱癌発生に対する修飾効果を検索すると共に、膀胱癌組織でのCOX-2蛋白質の発現を、Western blotting(WB)法及び免疫組織化学により検索した。(方法) 全実験に6週齢のF344系雄ラットを用いた。発癌実験では、ラットに0.05%BBN含有飲料水を8週間投与し、その後 NIMの0, 100, 200, 400ppm含有食を各々12週間投与した。全動物は実験開始20週目に屠殺し、組織学的に膀胱癌の発生について検索すると共に、免疫組織化学的にCOX-2蛋白の発現を検索した。またラットに0.05%BBNを20週間投与して膀胱癌を作製し、凍結癌組織の膜成分について、WB法によりCOX-2蛋白の発現を検索した。(結果) NIMは用量依存性に膀胱癌の発生頻度と発生個数を有意に減少せしめた。また膀胱腫瘍組織は非腫瘍部に比し、免疫組織学的及びWB法にてCOX-2蛋白の有意な発現上昇を示した以上、選択的COX-2阻害剤NIMがBBNによるラット膀胱癌の発生を抑制する事、また膀胱癌組織中にてCOX-2蛋白質の発現が上昇する事が示され、BBNによるラット表在性膀胱癌発生機構へのCOX-2の関与が示唆された。