ABSTRACT 68(3)
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ヒト大腸腺腫及び大腸癌におけるcyclooxygenase (COX) -2の発現と局在の検討:伴場裕巳1, 太田慎一1, 加藤 章1, 安達章子2, 糸山進次2, 松崎 宸1 (埼玉医大・総合セ・1内1, 病理2

Immunohistochemical localization of cyclooxygenase-2 expression in human colonic adenoma and cancer: Hiromi BAMBA1, Shinichi OTA1, Akira KATO1, Akiko ADACHI2, Shinji ITOYAMA2, and Fukashi MATSUZAKI1(1st Dept. of Int.med.1 and Dept. of Pathol.2, Saitama Med. Ctr., Saitama Med. Sch.)

【目的】非ステロイド系消炎鎮痛剤 (NSAIDs)の大腸癌発生抑制とCOX-2の関連が注目されている。動物実験においてCOX-2は腸ポリープ形成の発生初期段階から誘導されており、その発現は間質細胞にあるとの報告がなされた。我々は、ヒトの大腸癌発癌過程におけるCOX-2の役割を検討する為に、大腸腺腫と進行大腸癌におけるCOX-2の発現と局在を免疫組織化学的手法を用いて解析した。【方法】内視鏡的及び外科的に切除された12例の大腸腺腫と9例10病変の進行大腸癌を対象とした。ホルマリン固定・パラフィン包埋切片を抗COX-2抗体 (IBL 18515) を用い、ABC法にて免疫組織染色を施行した。更にCOX-2の発現している細胞の同定の為に抗CD68抗体を用いて同様に免疫組織染色を行なった。【結果】用いた抗COX-2抗体は培養ヒト大腸線維芽細胞を用いてIL-1βによるCOX-2の誘導をwestern blotting及び免疫組織染色にて認識出来る事を確認した。大腸腺腫においてCOX-2は9例に腫瘍先進部の間質細胞のみに強く染色され、CD68をマーカーとするマクロファージの局在とほぼ一致した。又、隣接している正常組織にはCOX-2の発現は認められず、半定量的にも有意な差を認めた。一方、進行大腸癌においては癌細胞と間質細胞に比較的弱く発現していた。【結語】NSAIDsの大腸癌発生抑制機構には大腸腺腫における間質細胞、特にマクロファージに発現しているCOX-2が関与している可能性が示唆された。