ABSTRACT 97(4-3)
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PhIPによるラット大腸がん誘発感受性遺伝子の染色体16番へのマッピング: 早田謙一,落合雅子,石黒由紀子,杉村隆,長尾美奈子,中釜斉 (国立がんセ・研・生化)

Chromosomal mapping of the loci for susceptibility to PhIP-induced colon carcinogenesis to rat chromosme16: Kenichi SOUDA, Masako OCHIAI, Yukiko Ishiguro, Takashi SUGIMURA, Minako NAGAO, Hitoshi Nakagama (Biochemistry Div., Natl. Cancer Ctr. Res. Inst.)

 加熱肉食品中に含まれているPhIPはヒト大腸癌の発生に関与している可能性がある。F344雄ラットにPhIPを長期連続投与すると大腸癌を、短期投与では大腸前癌病変と考えられるACF(aberrant crypt foci)を発生させる。ACF誘発性を種々のラット系統間で検討した結果、F344ラットは優性の感受性遺伝子を有することを報告してきた。ACF誘発抵抗性を示すACIラットを用い、(F344xACI)F1xACIバッククロスラット170匹を作成し、ACF誘発数を量的形質として感受性遺伝子の連鎖解析を行った。現在までに150以上の遺伝多型マーカーを用い、ラットのゲノム全般にわたり約2100cMの領域を解析した結果、優性の感受性遺伝子をラット染色体16番D16Rat42 (LOD Score=3.8)にマップした。interval mappingにより染色体16番上のD16Rat42とD16Rat40の間にもLOD Score 3.0以上を示すlocusが他に1カ所同定された。今後GD(genotypically directed)-RDA法を用い、これら染色体座位に存在する多型マーカーを分離しさらに詳細なタイピングを行うと同時に、congenic ratの作成を行い候補遺伝子の同定を目指す。