ABSTRACT 99(4-3)
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放射線誘発マウスリンパ腫・皮下腫瘍の遺伝解析:12番染色体上のがん抑制遺伝子座の同定とその解析: 松木淳、新保俊光、松本康男、小杉伸一、張大全、斎藤有子、木南凌(新潟大・医・1生化)

Genetic analysis of gamma-ray-induced mouse thymic lymphomas and subcutaneous tumors: Atsushi MATSUKI, Toshimitsu SHIMBO, Yasuo MATSUMOTO, Shinichi KOSUGI, Daizen CHO, Yuko SAITHO, Ryo KOMINAMI (First Dept. of Biochemistry, Niigata Univ. )

放射線はDNA鎖の切断や染色体の欠失、転座を引き起こしがんを誘発することが知られているが、そこに関与する遺伝子の実体は依然不明である。我々はMSM系統とBALB/C系統、C3H系統のF1マウス及び戻し交配マウスに放射線照射を行い、348例のリンパ腫を得、それらを対象とするLOH解析より、12番染色体D12Mit279座近傍にがん抑制遺伝子候補領域(TLSR12a、約3cM)を特定した(MATSUMOTO et al Oncogene in press)。YAC、BACを用いたTLSR12aの物理地図を作成し、新たに得られたLOH解析の結果(リンパ腫550例、皮下腫瘍149例の結果)を総合すると、今回TLSR12a候補領域を約200Kbにまで狭めることができた(本年の癌学会で新保が報告する)。 現在、候補領域のBACクローンに対しランダムシークエンス法、cDNAライブラリーとのホモロジー検索法を用い、候補遺伝子を検索している。また、リンパ腫及び皮下腫瘍からそれぞれ4細胞株、9細胞株を樹立し、同候補領域のLOHの有無と細胞増殖能との関係、及びBACクローン・候補遺伝子の遺伝子導入による細胞動態、機能変化に対する検索を行っている。これらの結果をまとめて報告する。