ABSTRACT 102(4-3)
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B細胞性慢性リンパ性白血病(B-CLL)と自己免疫疾患の遺伝的関連性の解析:濱野慶朋,広瀬幸子,白井俊一 (順天堂大・医・第2病理)

Genetic correlation between B-cell chronic lymphocytic leukemia and autoimmune diseases: Yoshitomo HAMANO, Sachiko HIROSE and Toshikazu SHIRAI (Dept. Pathol, Juntendo Univ. Sch. Med.)

[目的・方法]B-CLLと自己免疫疾患は特定の1家系に多発し、その家系内でHLA haplotypeを共有しうる事から、両疾患には共通の遺伝的発症因子が存在すると考えられる。B-CLLは自己抗体を産生するB-1細胞に由来することから、B-1細胞の異常分化は自己抗体の産生と自己免疫疾患を誘発し、分化を伴わない異常増殖はB-CLLを発症させる事が示唆される。我々はこれらのヒトの免疫異常がNew Zealandマウスでよく再現される事を発見し解析してきた。即ちNew Zealand White(NZW)はB-1細胞の異常増殖に関わる素因遺伝子のみが存在しB-CLLを発症するのに対し、New Zealand Black(NZB)やNZB x NZW F1はその異常増殖とともに異常分化に関わる素因遺伝子が存在し自己免疫疾患を発症する。今回、これらの現象の責任遺伝子を同定するため、(NZW x B10.NZW) F1 x B10.NZW及び(NZB x NZW) F1 x NZW退交配マウスを作成し、microsatelliteマーカーを用いて連鎖解析mappingを行った。形質として末梢血B-1細胞の異常増殖、血清IgM、IgG濃度、B-1細胞の異常分化に伴う異型形質細胞であるMott細胞の形成、抗DNA抗体力価を解析し、MAPMAKER/QTLを用いて各形質の素因遺伝子の染色体座位を推定した。
[結果・結論]New Zealandマウスのゲノム上にB-1細胞異常増殖に関わる遺伝子を3個、また、異常分化に関わる遺伝子を4個発見しマップした。B-CLL, Waldenstrom macroglo- bulinemia、自己免疫疾患はこれら素因遺伝子群の組み合わせの違いに由来する関連疾患であると考えられた。