ABSTRACT 109(4-4)
Cキナーゼeta分子種によるケラチノサイトの増殖抑制機構:柏木麻里子1,大場基2,石野敬子2,渡部裕之1・3,黒木登志夫1(1昭和大・腫瘍分子研,2薬・微生物,3医・臨床病理)
Negative growth regulation of keratinocytes by the eta isoform of protein kinase C: Mariko KASHIWAGI1, Motoi OHBA2, Keiko ISHINO2, Hiroyuki WATANABE1, 3, Toshio KUROKI1 ( 1Inst. of Mol.Oncology, 2 School of Pharma.Sci., 3 School of Med., Showa Univ.)
[目的] 我々は上皮細胞特異的に発現するPKCとしてeta分子種を単離し、この分子種がケラチノサイトの増殖停止と終末分化を誘導する事を培養細胞、トランスジェニックマウスの系を用いて証明してきた。 本研究ではeta分子種による増殖停止機構を解析した。 [方法・結果] 1)表皮ケラチノサイト(ヒト、マウス)にアデノウイルスベクターによりeta分子種を過剰発現させると細胞周期はG1期で停止した。2) 同調培養したマウス表皮ケラチノサイト細胞株(BalbMK2)では、eta分子種はG1 中期から後期にかけて細胞周期依存的に発現が上昇した。3) G1期停止の誘導に伴いCDK2の活性低下が認められた。 4)eta分子種を過剰発現させた細胞を抗CDK2抗体を用いて免疫沈降を行うとp21/WAF1/CIP1, p27/KIP1の共沈は認められなかった。一方80kDa付近にCDK2と共沈してくるタンパク質が確認された。現在Cキナーゼ eta分子種が細胞周期制御マシナリーと直接反応し、増殖を制御している可能性を検討中である。