ABSTRACT 111(4-4)
スキルス胃癌増殖におけるcollagen 特異的分子シャペロンHSP47の役割 : 岡本哲郎1, 山内尚文1, 萩野司1, 佐藤勉1, 佐々木宏嘉1, 高橋稔1, 佐藤康史1, 井山諭1, 照井健1, 渡辺直樹2, 新津洋司郎1( 1 札幌医大・4内、 2 同 ・検査部)
Role of HSP47 on proliferation: of scirrhous gastric carcinoma : Tetsuro OKAMOTO1, Naofumi YAMAUCHI1, Tsukasa HAGINO1, Tsutomu SATO1, Hiroyoshi SASAKI1, Minoru TAKAHASHI1, Yasushi SATO1, Satoshi IYAMA1, Takeshi TERUI1, Naoki WATANABE2, and Yoshiro NIITSU1 (1 4th Dept. Int. Med., 2 Dept. Labo. Diag., Sapporo Med. Univ., Sch. of Med.)
【目的】これまで我々はスキルス胃癌細胞自身が産生・分泌するcollagen が、スキルス胃癌,の増殖に好ましい環境を与えていることを報告してきた。一方、Heat Shock Protein 47 (HSP47) は、collagenに特異的な分子シャぺロンであり、collagenの輸送分泌過程に関与すると考えられている。そこで今回、スキルス胃癌細胞のHSP47の発現を制御することによりその増殖が抑制されるか否かについて検討した。【方法】対象としてヒトスキルス胃癌細胞KATO-III、非スキルス胃癌細胞TMK-Iを用いた。培養上清中のI型procollagenC末端ペプチド(P-I-C)はRIA法を用いて測定した。HSP47の発現は、抗HSP47抗体を用いたWestern blot および免疫沈降法で検討した。【結果】(1)培養上清中のP-I-C濃度は KATOIII細胞ではTMK-I細胞の約3倍であり、KATOIII 細胞はcollagen分泌能を有していた。(2)collagenゲル包埋培養では、KATO-III細胞は、TMK-I細胞に比べ明らかに増殖能が亢進していた。この増殖は抗I型 collagen抗体添加により抑制された。(2) antisense HSP47 mRNAを導入したKATOIII細胞では、培養上清中のcollagen分泌能が低下していた。さらに軟寒天ゲル中での細胞増殖能は親細胞に比べ、約1/2に低下していた。【結語】HSP47の発現を制御し、collagen分泌を阻害することにより、スキルス胃癌細胞の増殖は阻害された。