ABSTRACT 113(4-4)
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白血病細胞株U937におけるゲルソリンの分化促進作用:坂井紀夫1,2、瀧本将人1、毛培忠1、藤田寿一1、葛巻 暹11北大・医・癌研遺伝子制御、2第二内科)

Promoting effect of Gelsolin on Differentiation in human leukemia cell line U937: Norio SAKAI1,2, Masato TAKIMOTO1, Peizhon MAO1, Hisakazu FUJITA1, Noboru KUZUMAKI1 (1Div. Gene. Regulation., Cancer Inst., 2Int. Med. II., Sch. Med., Hokkaido Univ.) 

【目的】ヒト骨髄性白血病細胞株U937をTPAあるいはVD3にて分化を誘導すると、ゲルソリンの発現が増加する。我々はゲルソリンがU937の分化に関与するか否か、関与するなら如何に関与するかを検討した。
【方法】U937細胞にヒトゲルソリンcDNAおよび対照としてneo耐性遺伝子を導入し発現させた細胞を用いた。分化マーカーの解析はフローサイトメーター、各種蛋白質の発現はウエスタンブロット法にて行った。PU.1のDNA結合活性はgel retardation assay にて検討した。
【結果】ゲルソリン高発現株では対照と比べ分化マーカーCD11a,b,cおよびCD18の増加がみられた。TPAにて分化誘導したところ、ゲルソリン高発現株は対照と較べ用量依存性に増殖が抑制されるとともに、マクロファージ類似の形態を呈した。分化マーカーではCD11bが著しく増加した。VDにて分化を誘導すると、ゲルソリン高発現株は対照と比べ、CD11b,CD18およびCD14が著しく増加した。一方、F-actinはTPAでは増加するがVDでは増加しなかった。PU.1はゲルソリン高発現株では対照と比べ発現量には差はないものの、分化誘導前においてよりDNA結合活性が上昇しているとともに、TPAやVDによる分化誘導によりさらに強く活性化された。
【結論】アクチン調節蛋白質であるゲルソリンが、U937の分化を促進することが示された。その機序のひとつとしてゲルソリンがPU.1のDNA結合活性を促進していることが示唆された。