ABSTRACT 116(4-4)
哺乳動物の新規分化抑制因子ROD1 の機能解析:山本華子1, 塚原克平2, 神野茂樹1, 岡山博人1 ( 1東大・医・分子生物, 2エーザイ・筑波研)
Functional analysis of the rat gene ROD1, a putative negative regulator of cell differentiation : Hanako YAMAMOTO1, Kappei TSUKAHARA2, Shigeki JINNO1, Hiroto OKAYAMA1 ( 1Dept. Mol. Biol., Grad. Sch. Med., Univ.Tokyo, 2Tsukuba Res. Lab., Eisai Co.Ltd. )
高等動物における増殖と分化の制御機構は、細胞癌化との関連性からも非常に興味深いテーマであるが、詳細については未だ明らかになっていない。我々は分裂酵母の増殖と分化の制御機構が、進化の過程において高等動物の増殖・分化の制御系に保存されているのではないかと考え、制限温度下では無条件に胞子形成を行い致死となるpat1分裂酵母変異株を機能的に相補する高等動物の遺伝子をクローニングした。単離されたROD1 遺伝子は、同様の系でクローニングされた分裂酵母遺伝子nrd1+のホモログであると考えている。nrd1+はRNA結合タンパクをコードしており、栄養源からのシグナルを受けて減数分裂移行を抑制する新しい分化抑制因子である。一方ROD1 遺伝子は、血球細胞系で発現が高く、ヒト骨髄性白血病細胞株K562に高発現させると、巨核球への分化を抑制することが明らかとなった。本学会ではこの解析の結果について報告し、高等動物と分裂酵母で共通の分化制御機構が存在する可能性を提示する。