ABSTRACT 133(4-6)
大腸癌におけるテロメラーゼ活性とテロメラーゼ触媒サブユニットTERTの発現:田原栄治1,田原栄俊1,安井 弥2,藤本淳也2,中山潤一3,石川冬木3,田原榮一2,井出利憲1(広島大・医・1総合薬、21病理、3東京工大・生命理工)
Telomerase activity and Expresssion of telomerase catalytic component, TERT, in human colorectal cancer : Eiji TAHARA1,Hidetoshi TAHARA1,Wataru YASUI2, Junya Fujimoto2,Jun-ichi NAKAYAMA3,Fuyuki ISHIKAWA3,Eiichi TAHARA2,Toshinori IDE1(1Dept. Cell. Mol. Bio.,21st Dept. Pathol., Hiroshima Univ.Sch. Med.,3Dept. Life Science, Tokyo Institute of Technology)
[目的] テロメラーゼと細胞のがん化、不死化との関連性が明らかにされつつあり、酵素複合体コンポーネントとしてTERT、TERC、TEP1の3遺伝子がクローニングされている。今回は、特にテロメラーゼ触媒サブユニット、TERTに着目し、RNAレベルおよび蛋白レベルでの検討をおこなった。
[材料と方法] 内視鏡、手術で採取した大腸癌組織(20例)について、テロメラーゼ活性をTRAP法で、テロメラーゼ関連遺伝子の発現をRT-PCR法で、抗TERT抗体を用いて、Western 解析、免疫組織化学的検討をおこなった。
[結果と考察] 大腸癌において、テロメラーゼ活性は、95%検出され、TERTのmRNAの発現は85%で過剰発現が認められた。TERTの蛋白発現もテロメラーゼ活性と相関して発現し、免疫組織学的検討から、癌細胞の核に強く発現していた。また、正常細胞も弱いテロメラーゼ活性を示した。リンパ球や上皮幹細胞においても、蛋白発現が認められた。これらのことから、TERTの発現は、テロメラーゼ活性と良く相関し、今後、TERTを用いた新しい癌診断マーカーあるいは、癌治療の標的遺伝子となることが強く示唆された。