ABSTRACT 134(4-6)
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子宮頚部多段階発癌過程における細胞内テロメラーゼ活性の in situ TRAP 法による検討:河崎恵子,坂本優,功刀孝也,秋谷司,岩渕浩之,室谷哲弥,杉下匡,天神美夫(佐々木研・杏雲堂病・婦)

Study on the cytologic detection of intra-cellular telomerase activity in the multi-step carcinogenesis of the uterine cervix using in situ TRAP assay:Keiko KAWASAKI, Masaru SAKAMOTO, Takaya KUNUGI, Tsukasa AKIYA, Hiroshi IWABUCHI, Tetsuya MUROYA, Tadashi SUGISHITA, Yoshio TENJIN(Sasaki Institute Kyoundo Hospital)

【目的】近年テロメラーゼの発現と発癌との関連が注目されている.子宮頚癌におけるテロメラーゼ活性を細胞レベルで検出し,その臨床的意義について検討した.【方法】対象は正常子宮頚部 5例,良性病変(炎症性変化)8例,異形成 11例,上皮内癌 12例,浸潤癌 8例.各症例の子宮頚部より2枚の標本を作成.1枚は in situ TRAP 法(Cancer Res.57: 2100-2103, 1997)を行い,テロメラーゼ陽性細胞を検出し,1枚はパパニコロー染色を行い,比較検討した.なお,パパニコロー染色にてリンパ球とみなされる細胞は判定対象から除外した.【結果および考察】テロメラーゼ陽性細胞は正常子宮頚部 0例 ( 0% ),良性病変(炎症性変化) 0例 ( 0% ),異形成 8例 ( 72% ),上皮内癌 11例 ( 92% ),浸潤癌 8例 ( 100% ) に認められた.細胞診陰性,組織診陽性例において本法によってテロメラーゼ陽性細胞を検出したものもあり,細胞診の補助手段として有用と考えられた.また,異形成・上皮内癌では核内に比較的均一に発現していたが,浸潤癌では,核膜辺縁及び核内に斑点状により強い発現を認めた.【結論】子宮頚癌の発癌過程においてテロメラーゼの発現頻度の増加が認められ,浸潤過程においてテロメラーゼの核内発現パターンの変化が認められたことにより,発癌・進展過程におけるテロメラーゼの発現は量的変化のみならず,その局在性も変化している可能性が示唆された.