ABSTRACT 135(4-6)
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Helicobacter pylori除菌療法による胃MALTリンパ腫と濾胞性胃炎のテロメラーゼ活性の変化:三輪亘1、長尾久美2、久富寿2、長嶋洋治3(1平塚共済病院 ・消化器、2株式会社エスアールエル遺伝子・染色体解析センター、3横浜市大・医・病理)

Reduced telomerase activity in gastric MALT lymphoma and follicular gastritis after eradication of H. pylori : Wataru Miwa1, Kumi Nagao2, Hisashi Hisatomi2, Yoji Nagashima3 (1Div. of Gastroenterol.Hiratsuka Kyosai Hosp. 2Center for Mol. Biol. and Cytogenet., SRL, Inc. 3Dep. of Pathol. Yokohama City Univ, Sch. of Med.)

目的:近年Helicobacter pylori (H.pylori)除菌治療で胃MALTリンパ腫を含む様々な上部消化管病変が改善する事が報告されているが、除菌治療の意義はまだ十分には理解されておらず、分子レベルでの解明が待たれる。我々はH.pylori菌感染と密接に関連しているとされる胃MALTリンパ腫と濾胞性胃炎について、除菌後のテロメラーゼ活性の変化を検討してみた。対象と方法:胃MALTリンパ腫患者1例、濾胞性胃炎患者12例(全例にH. pyroli菌陽性)について十分なinformed consentを得た上で除菌療法を施行し、治療前後で得られた内視鏡下生検組織を用いて病理学的検討とTRAP法によるテロメラーゼ活性測定を行った。結果:胃MALTリンパ腫は除菌後8ヶ月の経過で、組織学的改善とともにテロメラーゼ活性は57→17→0unitsと漸減、陰性化した。濾胞性胃炎は12例中10例が平均19.5±6.2unitsのテロメラーゼ活性を示し、除菌後1ヶ月で、評価し得た6例全例で炎症細胞浸潤の軽快とともに陰性化した。非病変部は全例テロメラーゼ陰性だった。考案:テロメラーゼ活性はH.pylori関連胃病変の一部で上昇し、除菌後の活性の低下がその組織学的改善と関連している可能性がある。