ABSTRACT 137(4-6)
ラット可移植性骨肉腫における化学療法中にみられるテロメラーゼ活性の変動:城戸顕1, 2, 辻内俊文1, 堤雅弘1, 森下亨1, 高濱誠1, 吉本雅俊1, 2, 宮内義純2, 三井宜夫2, 小西陽一1(1奈良医大.がんセ.腫瘍病理, 2同整外)
Telomerase activity of transplantable osteosarcomas in rats treated with chemotherapeutic agents: Akira KIDO1, 2, Toshifumi TSUJIUCHI1, Masahiro TSUTSUMI1, Toru MORISHITA2, Makoto TAKAHAMA1, Masatoshi YOSHIMOTO1, 2, Yoshizumi MIYAUCHI2, Yoshio MII2, Yoichi KONISHI1 (1Dept. of Oncological Pathology, Cancer Center, 2Dept. of Orthopaedic Surgery, Nara Med. Univ.)
[目的] 近年,ヒト悪性腫瘍においてテロメラーゼの活性が検出され,細胞の不死化及び癌化におけるその調節機構が解明されつつある。しかしながら化学療法中の生体内における腫瘍のテロメラーゼ活性の変動についての報告はない。今回我々は,ラット可移植性骨肉腫を用いて血管新生阻害剤AGM-1470及びCDDPによる化学療法を行い、経時的にテロメラーゼ活性及び腫瘍体積を測定しこの生物学的意義を検討した。 [方法] 動物は6週齢のF344雄ラットを用いた。腫瘍移植後2週目よりAGM-1470持続皮下投与(10mg/kg 2週間)またはCDDP皮下投与(2.5mg/kg)を開始した。移植後3,4,5,6週目に屠殺解剖して皮下腫瘍を摘出、TRAP法にてテロメラーゼ活性を測定し,得られたladderを定量的に解析した。 [結果] テロメラーゼ活性はAGM-1470治療群では移植後3週目に23.1%, CDDP治療群では移植後5週目に7.3%まで減弱したが 移植後6週目にAGM-1470治療群92%, CDDP治療群43.9%まで回復した。[結語] 化学療法により腫瘍のテロメラーゼ活性が変化することが明らかになった.この変化は化学療法剤による腫瘍の増殖抑制と相関する傾向がみられた。TRAP法によるテロメラーゼ活性の測定が化学療法における抗腫瘍効果の指標となりうる可能性が示唆された。