ABSTRACT 169(4-9)
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グルココルチコイドによるアポトーシスにおけるカスパーゼの活性化:宮下俊之、山田正夫(小児医療セ・先天異常)

Activation of caspases during glucocorticoid-induced apoptosis : Toshiyuki MIYASHITA, Masao YAMADA (Dept. of Genetic, Natl. Children's Medical Res. Ctr.)

【目的】我々はグルココルチコイド(GC)によっておこるアポトーシスにおいて活性化されるカスパーゼの解析と、更にそれらの阻害剤のアポトーシスに及ぼす影響の検討を試みた。【方法】主としてヒトリンパ性白血病細胞株697を用いた。カスパーゼ6の活性測定にはAc-VEID-MCAを、カスパーゼの阻害剤としてはAc-DEVD-CHO及びzVAD-fmkを用いた。【結果】GCによって誘導されるアポトーシスの際、カスパーゼ3の基質として知られるpoly (ADP-ribose) polymeraseはイムノブロットで限定分解が見られたが、カスパーゼ3そのものに変化は認められなかった。これに対しカスパーゼ6の分解と活性化が認められた。この活性化はBcl-2の高発現により抑制された。またほとんどのカスパーゼを阻害するzVAD-fmkはGCによるアポトーシスの際認められるミトコンドリア膜電位の低下、活性酸素の産生、細胞膜透過性上昇のいずれも著明に抑制したが、これに対しカスパーゼ3様プロテアーゼ阻害剤であるAc-DEVD-CHOによる抑制は認められないか、不完全であった。しかしDNAの断片化は効果的に阻止された。【結論】1) GCによるアポトーシスの実行過程では他の多くのアポトーシスと異なり、カスパーゼ3の限定分解は認められず、カスパーゼ6が活性化される。2) Ac-DEVD-CHOでは抑制されず、zVAD-fmkで抑制されるカスパーゼがミトコンドリアの変化より上流で作用している。3) Ac-DEVD-CHOによってカスパーゼ3様プロテアーゼの活性化を阻害すると、DNAの断片化は抑制されるが細胞死そのものは誘導される。