ABSTRACT 171(4-9)
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Bcl-XL蛋白のCaspase-3による分解とBcl-XL切断断片によるアポトーシス誘導:藤田直也1,鶴尾隆1,21東大・分生研,2癌研・化療セ)

Acceleration of apoptotic cell death after the cleavage of Bcl-XL protein by caspase-3 : Naoya FUJITA1,Takashi TSURUO1,2 (1Inst. Mol. Cell. Biosciences, Univ. Tokyo,2Cancer Chemother. Ctr., Jpn. Fdn. Cancer Res.)

Interleukin-2(IL-2)依存的に増殖するCTLL-2細胞は、IL-2除去によりアポトーシスを起こして死滅する。この際に、アポトーシス抑制Bcl-XL蛋白の発現減少が起きることが知られていたが、その原因は不明であった。我々は抗Bcl-XL抗体によるWesternでその結果を追試した際に、30 kDaのBcl-XL蛋白がアポトーシスの進行とともに分解され、18 kDaの2つの断片が生じることを見い出した。このBcl-XL蛋白の分解は、CTLL-2細胞にCaspase阻害剤またはBcl-2遺伝子を導入することにより抑制された。またin vitroでBcl-XL蛋白を活性型Caspase-3と反応させることにより、18 kDaの2つの切断断片が生じることから、Bcl-XL蛋白はCaspase-3により切断されることが明らかとなった。さらにこの切断は、61番目と76番目のアスパラギン酸を認識して起きることを明らかにした。切断された18 kDaのBcl-XL断片は、抗アポトーシス活性を持つBH4 domainを欠如しBax等のアポトーシス誘導型Bcl-2 family蛋白に似た構造を持つようになる。実際にBcl-XL断片を遺伝子導入することにより、細胞はアポトーシス誘導刺激に対して感受性になったことから、活性としてもBcl-XL断片はアポトーシス誘導活性を持つことが明らかとなった。よってCaspase-3は、アポトーシス抑制Bcl-XL蛋白を切断してアポトーシス誘導型Bcl-XL断片を生じさせることにより、アポトーシスを促進している可能性が示唆された。