ABSTRACT 178(4-9)
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レトロウイルス感染によるアポトーシス耐性細胞の樹立とその解析:木崎厚生1,東方美保1,内藤幹彦1,杉本芳一2,旦慎吾1,鶴尾隆1, 21東大・分生研,2癌研・癌化療セ)

Establishment of anticancer drug-resistant mutants from human monocytic leukemia U937 by retroviral infection: Atsuo KIZAKI1, Miho TOHO1, Mikihiko NAITO1, Yoshikazu SUGIMOTO2, Shingo DAN1, Takashi TSURUO1,2 (1Inst. Mol. Cell. Biosci., Univ. Tokyo, 2Cancer Chemother. Ctr., Jpn. Fdn. Cancer Res.)

[背景と目的]FasやTNFレセプターなどのdeath receptorを介したアポトーシスの分子機構が明らかにされつつあるなか、抗がん剤の誘導するアポトーシスの制御機構は不明な点が多い。そこで我々は、抗がん剤によるアポトーシスの分子機構を解析する目的で、レトロウイルスの挿入変異を利用して抗がん剤の誘導するアポトーシスに耐性を示す細胞を樹立した。レトロウイルスLXSN/PA317のプロウイルス上に存在するLTR (long terminal repeat) は、挿入されたウイルスゲノムの近傍に存在する宿主遺伝子の転写を強く増強することが期待され、得られた耐性細胞の遺伝子解析から抗がん剤によるアポトーシスを制御する遺伝子を単離することを試みた。[実験と結果]ヒト白血病U937細胞にLXSN/PA317を感染させ、抗がん剤VP-16で処理した後、生き残った細胞を限界希釈法にてクローニングした。これらの細胞のなかから特に抗がん剤に強い耐性を示すものを選択し、以後の解析が容易になるようにウイルス感染が1コピーのみのものをサザンブロットにより検討した結果、2つのクローン(UL42・49)が得られた。興味深いことに、UL42はdeath receptor刺激によるアポトーシスにも耐性を示したが、UL49は逆に親株より感受性を示した。現在、これら2クローンのアポトーシス耐性を規定している遺伝子を探索中である。