ABSTRACT 193(5-1)
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t(1;11)(q23;p15) AMLにおける転座切断点の遺伝子の同定:中村卓郎1,2、山崎ゆかり1,2、波多野善明3、三浦偉久男31癌研・研、2科学技術振興事業団さきがけ研究21、3秋田大・医・三内)

Identification of the break point genes in human AML with t(1;11)(q23;p15): Takuro NAKAMURA1,2, Yukari YAMAZAKI1,2, Yoshiaki HATANO3, Ikuo MIURA3 (1Cancer Inst., 2PRESTO, JST, 3Third Dept. of Int. Med., Akita Univ.)

我々は、ヒト急性骨髄性白血病(AML)で染色体転座t(7;11)(p15;p15)を示す症例において、nucleoporin遺伝子NUP98とホメオボックス遺伝子HOXA9との間に遺伝子融合が生じていることを明らかにしたが、AML症例ではNUP98の存在する11p15領域が7p15以外とも相互転座を示すことが知られていた。今回我々は、t(1;11)(q23;p15) を示したAML (M2)における転座切断点の遺伝子を同定した。症例は、55歳の男性でnon-Hodgkin lymphomaに対する化学療法の3年後にAMLを発症した。NUP98のDNA fragmentをprobeとしてSouthern blottingを試みたところ、t(7;11) AMLの切断点と同じイントロンに切断点が存在した。3'-RACE法を用いて1q23側の遺伝子の同定を行い、ホメオボックス遺伝子PMXとNUP98との間に遺伝子融合が生じていることが明らかとなった。この融合の結果、PMXはtranscriptional repressorからactivatorへと変化する。NUP98/PMXをマウス骨髄細胞32Dcl3に導入し発現させるとNUP98/HOXA9同様G-CSFによる分化を阻害した。