ABSTRACT 197(5-1)
滑膜肉腫におけるSYT-SSX 遺伝子の機能:橋本伸之1,荒木信人1,名井陽1,吉川秀樹2,越智隆弘1(1阪大整形, 2大阪成人セ整形)
Functional analysis of the SYT-SSX fusion gene in synovial sarcoma : Nobuyuki HASHIMOTO1, Nobuhito ARAKI1, Akira MYOUI1, Hideki YOSHIKAWA2, Takahiro OCHI1 (1Dept. of Orthop. Surg., Osaka Univ. Med. Sch., 2Osaka Medical Center for Cancer and Cardiovasucular Diseases)
間葉系悪性腫瘍では腫瘍特異的染色体転座が比較的多く、上皮性腫瘍との発癌様式の違いが示唆されている。滑膜肉腫においては特異的転座 t(X;18) によりSYT-SSX 融合遺伝子が生ずるが、腫瘍発生における役割は未だ明らかではない。(方法) 1. 本遺伝子産物に対する特異的ポリクローナル抗体を作製し、滑膜肉腫におけるSYT-SSX 遺伝子の産物の検出を行なった。2. SYT-SSX 遺伝子を恒常的に発現するNIH3T3細胞を用いて形態の変化、soft agar assay、ヌードマウス造腫瘍性について評価した。(結果) 1. 滑膜肉腫においてSYT-SSX 遺伝子が約60kD の産物に翻訳されていることがはじめて確認された。2. SYT-SSX 遺伝子を発現するNIH3T3 では細胞の形態や配列に変化が認められた。また軟寒天中でのコロニー形成やヌードマウス造腫瘍性も認められ、本遺伝子がtransforming 活性を持つことが示された。以上の結果から、SYT-SSX 遺伝子が滑膜肉腫の発生に直接関与することが明らかとなった。