ABSTRACT 200(5-1)
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日本のバーキットリンパ腫におけるMYC遺伝子領域の染色体切断点とEpstein-Barr virus (EBV)感染の検討:並木 剛1、坂下暁子1、鹿野高明2、鈴宮淳司3、菊池昌弘3、金子安比古1(1埼玉がんセ病、2幌南病小児、3福岡大医)

Chromosomal breakpoints of the MYC locus and association of Epstein-Barr virus in Japanese Burkitt's lymphoma : T NAMIKI1 ,T SHIKANO1,J SUZUMIYA2,M KIKUCHI3,Y KANEKO1(1Saitama Cancer Ctr Hosp,2Kohnan Hosp,3Fukuoka Univ.)

[目的] バーキットリンパ腫は発生地域によりendemic typeとsporadic typeに分類される。染色体切断点がMYC遺伝子内かその近傍に位置する腫瘍はsporadic type の91%(米国), endemic type の26%(ガーナ)と報告されているが、本邦の腫瘍については十分に検討されていない。一方、EBV陽性率はendemic typeで100%, sporadic typeで31%(米国)または10-60%(日本)と報告されている。日本のバーキットリンパ腫26例についてMYC遺伝子領域の染色体切断点、およびEBVの関与につき検討し、国内外から報告された同様のデータと比較した。[対象と方法] 本邦のバーキットリンパ腫26例につき、DNAを各種制限酵素で消化後、MYCのexon 1とexon 3のプローブを用いてサザン法を行い,切断点を検討した。EBVの関与についてサザン法で10例、PCR-サザン法で全例分析した。[結果] 26例中MYC遺伝子内か、5′側近傍のHind III 切断部位より下流に切断点をもつ腫瘍は21例、再構成バンドを認めなかった腫瘍は5例であった。この5例にはt(8;14)またはt(8;22)を認めた。サザン法およびPCR―サザン法にて26例中3例にEBVウイルスDNAを検出した。[結論] 本邦バーキットリンパ腫26例中、MYC遺伝子内か、その5′側近傍に切断点をもつ腫瘍は80%であり、米国のsporadic type (90%)と類似した頻度であった。EBV陽性率は10%と国内外のsporadic typeのデータと比較して低く、同じsporadic typeであっても地域によりEBVの陽性率は異なるようだ。