ABSTRACT 203(5-1)
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RAD54と相同性を有するヒト新規遺伝子のリンパ性腫瘍における構造異常:福田敏勝、平本智樹、鎌田七男、神谷研二、宮川 清(広島大・原医研・分子病理、分子細胞遺伝、分子生体制御)

Structural aberrations of a human new gene homologous to Rad54 in lymphoid malignancies : Toshikatsu FUKUDA1, Tomoki HIRAMOTO, Nanao KAMADA, Kenji KAMIYA3, Kiyoshi MIYAGAWA(Dept. Mol. Pathol., Dept.Cancer Cytogenet., 3Dept.Develop. Biol. Oncol., Res. Inst. Radiat. Biol. Med., Hiroshima Univ.)

遺伝性乳癌の責任遺伝子産物BRCA1及びBRCA2が相同組み換え修復因子RAD51と相互作用を有している事実は、RAD51が属するRAD52 epistasis group が発癌に関与する可能性を示唆するものである。しかし、この遺伝子群に属する遺伝子が発癌に関与する直接的証明は得られていない。その原因の一つとして、既知の4つのヒト遺伝子以外の遺伝子が直接発癌に関与している可能性が考えられる。そこで、我々はRAD54に相同性を有する新規遺伝子RAD54Bを単離し、その構造異常をリンパ性腫瘍において検討した。その結果、RAD54と相同性を有する領域におけるRAD54Bのミスセンス変異の存在が明らかになったほか、フレームシフトを生ずるスプライシング・バリアントの癌における発現も認められた。このような構造異常により相同組換え因子RAD54と相同性を有するRAD54Bの機能が損なわれることが予想され、リンパ性腫瘍の一部の症例における遺伝的不安定の誘導にRAD54Bの異常が関与しているものと考えられる。