ABSTRACT 219(5-3)
 一般演題一覧 トップ 


Turcot 症候群患者の正常組織におけるDNA 不安定性と腫瘍における遺伝子変化: 宮木美知子1, 西尾純子2, 小西元子1, 鄭子文3, 小池盛雄4, 宇都宮譲二5 (1都立駒込病・遺伝性腫瘍, 4病理, 2東京医歯大・1内, 3自治医大・病理, 5兵庫医大・2外)

DNA instability of normal tissues and genetic changes of tumor tissues in a patient with Turcot syndrome : Michiko MIYAKI1, Junko NISHIO2, Motoko KONISHI1, Ja-Mun CHONG3, Morio KOIKE4, Joji UTSUNOMIYA5(1Heredit. Tumor Project, 4Dept. Pathol., Tokyo Metrop. Komagome Hosp., 21st Dept. Int. Med., Tokyo Med. Dent. Univ., 3Dept Pathol., Jichi Med. School, 52nd Dept. Surg., Hyogo Coll. Med. )

Turcot 症候群は10代で悪性の脳腫瘍と大腸腫瘍が発生する優性または劣性の遺伝疾患であるが、発癌機構は不明である。本Turcot 患者には7〜16歳の間に悪性脳腫瘍、悪性リンパ腫、大腸癌、大腸ポリープが発生したが、両親に腫瘍は認められず、劣性型と推測された。大腸癌、ポリープ、脳腫瘍のいずれにもDNA不安定性(RER)が認められ、高頻度のAPCやp53遺伝子の体細胞変異が検出された。患者の正常組織には激しいRERが見い出された。ノックアウトマウスの場合に類似することから、患者はミスマッチ修復遺伝子の生殖細胞変異を両方の対立遺伝子にを持つ可能性が考えられた。母親から遺伝しているhPMS2遺伝子のミスセンス変異が検出された。父親における変異を解析中であるが、他の未知の遺伝子の突然変異が患者の生殖細胞に生じた可能性も否定はできない。