ABSTRACT 221(5-3)
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大腸癌、胃癌、子宮体癌、膵癌におけるケアテイカーの異常とその標的ゲートキーパーの異常の解析:古川徹、阿部忠義、鈴木昭彦、堀井明(東北大・医・分子病理)

Analysis of mutations in the target gatekeeper genes in tumors with abnormal caretaker genes in the colorectum, stomach, endometrium, and pancreas:Toru FURUKAWA,Tadayoshi ABE,Akihiko SUZUKI,Akira HORII(Depts. Mol. Pathol., Tohoku Univ. Sch. Med.)

マイクロサテライト不安定性(MI)はケアテイカーの1つであるDNAミスマッチ修復遺伝子の異常により引き起こされる。その際、蛋白コード領域内に繰り返し配列を含む遺伝子は異常の頻度が高い。本研究では、そのようなゲートキーパー遺伝子の候補であるTGFβRII, IGFIIR, BAX, ICE, PTEN1等の異常について検討を加えた。症例は子宮体癌100例、胃癌82例、大腸癌118例、膵癌60例の計360例である。MI+の頻度は大腸癌19%、胃癌18%、子宮体癌26% 、 膵癌15%であった。これらのMI+の腫瘍において前記の遺伝子の異常をそれぞれの遺伝子の反復配列について調べたところ、異常はTGFβRIIにおいて大腸癌で64%、胃癌で53%に、IGFIIRでは大腸癌で4.5%、胃癌で20%、子宮体癌で15%に、またBAXでは大腸癌で41%、胃癌で33%、子宮体癌で12%に認められた。MI-の腫瘍ではTGFβRIIおよびIGFIIRの異常がそれぞれ大腸癌で1例、胃癌で2例に認められたのみでBAXの異常は認められなかった。一方、ICEではいずれの癌でも異常は見られず、またPTEN1では子宮体癌において特異的に異常が見られた。膵癌においては何れの遺伝子においても異常は全く認められなかった。以上の結果は、ケアテイカーの異常により特定のゲートキーパー遺伝子が標的となって異常がおこり、癌の発生・進展につながっていることを示唆するものであり、また、膵癌においては未知の標的ゲートキーパー遺伝子の異常が関与している可能性が推測された。