ABSTRACT 222(5-3)
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大腸癌におけるミトコンドリアゲノム不安定化と遺伝子変異の解析: 幅野渉,菅井有,上杉憲幸,中村眞一(岩手医大・臨床病理部門)

Instability and mutation in the mitochondiral genome of colorectal carcinomas: Wataru HABANO, Tamotsu SUGAI, Noriyuki UESUGI, Shin-ichi NAKAMURA (Div.Clinical Pathology, Iwate Medical University)

【目的】我々は大腸癌ミトコンドリア DNA (mtDNA) において microsatellite instability (MI) の存在を明らかにしてきた。今回コード領域中の遺伝子欠失および変異の検索を行った。【方法】大腸がん45症例の腺管分離材料を対象とした。Long-distance PCR によりほぼ全長の mtDNA(16.5 kb)を増幅し、制限酵素消化・アガロースゲル電気泳動により遺伝子欠失の有無を評価した。遺伝子内変異は ND1, ND4, ND5, COII, Cyt b の各遺伝子につき PCR-SSCP, 直接シークエンス法により検索した。【結果】遺伝子欠失は全症例で検出されなかった。一方、7症例(16%)で ND1 または ND5 遺伝子の変異が確認された。その3例では (C)6 、(A)8 部位のスリップ変異による truncated protein の誘導が考えられた。また7例中6例では mtDNA の D-loop (C)n 部位における MI が確認された。【結論】mtDNA においても核ゲノム同様のミスマッチ修復機構が存在し、ゲノムの安定化に寄与することが推測された。 ND1、ND5 遺伝子は mtDNA 複製エラーの標的遺伝子の候補と考えられ、大腸癌の発育・進展に関与する可能性が示唆された。