ABSTRACT 223(5-3)
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ヒト肺癌における第3番染色体短腕共通欠失領域からの新規遺伝子の単離と遺伝子発現異常の解析:醍醐弥太郎1,2、西脇忠1、川添輝1、玉利真由美1、藤野雅之2、中村祐輔11東大・医科研・ヒトゲノム解析センター・シークエンス解析、2山梨医大・医・1内)

Characterization and Mutation Analysis of a Novel Gene Isolated from Commonly Deleted Region in Human Lung Carcinoma on Short Arm of Chromosome 3: Yataro DAIGO1,2,Tadashi NISHIWAKI1,Teru KAWASOE1, Mayumi TAMARI1, Masayuki A FUJINO2, Yusuke NAKAMURA1 (1.Dept.Mol.Med.,Inst.Med.Sci.,
Univ.Tokyo.,2.1st Dept.Med.,Yamanashi Med.Univ.)

ヒト第3番染色体短腕に存在する肺、食道、子宮頚部および腎癌の発生に関与する癌抑制遺伝子の単離を目的として3p21.3の約1.2Mbの全塩基配列を決定した。その結果、候補癌抑制遺伝子を単離したので報告する。我々は肺癌細胞株におけるホモ欠失領域の約10kbテロメア側に5'末端が存在する新規遺伝子を単離した。転写調節領域が欠失領域に近接していることから、ホモ欠失による position effect で生じるこの遺伝子の不活化が発癌に関係している可能性が考えられた。この遺伝子は1755アミノ酸(約165kD)をコードする遺伝子であり、アミノ酸配列のコンピューター解析の結果、複数の核移行シグナルの存在が示唆されたことから核に局在すると考えている。肺癌48症例のDNAを用いてPCR-SSCP法で遺伝子変異を解析したところ遺伝子産物に変化をひきおこす変異は認めなかった。しかしながら、RT-PCR法では肺癌30症例中11例(36%)、食道癌53症例中22例(42%)で発現の欠如もしくはスプライシング異常により正常蛋白が欠落していることが明らかとなった。また食道癌細胞株13株中4株(30%)、腎癌細胞株2株中2株(100%)で同様のスプライシングの異常を認めた。これらの結果は、この遺伝子の不活性化ががん化に重要な役割を果たしていることを示唆しているものと考えられる。