ABSTRACT 242(5-5)
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大腸腺腫症とβ-catenin 遺伝子変異 :
高塚 純1、祖母井庸之2、佐藤雅彦1、本田善子1、緒方秀昭1、岡本康介1、畠山知昭1、磯貝正博1、柴  忠明1, 中釜 斉2,(1東邦大・2外, 2 国立がんセ・研・生化)

Mutation of β-catenin in colorectal adenoma: Jun Takatsuka1, Tsuneyuki UBAGAI2, Masahiko SATO1, Yoshiko HONDA1, Hideaki OGATA1, Kousuke OKAMOTO1, Tomoaki HATAKEYAMA1, Masahiro ISOGAI1, Tadaaki SHIBA1, Hitoshi NAKAGAMA2 (1Dept. Surg. II. Toho Univ., 2Biochem Div., Natl. Cancer Ctr. Res. Inst.)
 
【目的】大腸腺腫症の約80%にAPC遺伝子の異常を有するが、APC遺伝子はまた細胞接着分子のE-cadherinの裏打ち蛋白であるβ-cateninとも結合し細胞増殖を制御している。我々は大腸腺腫症におけるβ-cateninの遺伝子変異について検討した。【対象および方法】大腸腺腫症32例(43 病巣)を対象とし病理組織により過形成5 、腺管腺腫31、腺管絨毛腺腫4、腺癌3に分類した。検体は内視鏡的あるいは外科的に切除した新鮮凍結検体から DNA を抽出し、DNA 変異はPCR-SSCP法およびdirect sequence法によりβ-catenin のcodon 6-80の範囲を増幅し遺伝子変異を検討した。【結果】32例のうち4例( 4 病巣)9.3%においてβ-cateninの変異を認めた。内訳は腺管腺腫が2例、腺管絨毛腺腫1例、腺癌1例で腺腫の大きさや組織の異型度とは相関は認められなかったが、変異を認めた4例は5個-10個以上の多発腺腫例であった。【考察】多発性腺腫例においてβ-catenin の変異が見られたことより遺伝的あるいは素因的因子の可能性も示唆される。現在APC遺伝子変異との関連についても解析中である。