ABSTRACT 243(5-5)
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変異型βカテニン導入マウス線維芽細胞(L細胞)の解析:長澤 豊1,2,三好康雄,岩尾恭子,篠村恭久2,松沢佑次2,中村祐輔1、3阪大・バイオセ・臨床遺伝,2阪大・2内,3東大・医科研・ヒトゲノムシークエンス解析分野)

Analysis of mouse fibroblast (L cell) with introduction of mutant β-catenin: Yutaka NAGASAWA1,2, Yasuo MIYOSHI1, Kyoko IWAO1, Yasuhisa SHINOMURA2, Yuji MATSUZAWA2, Yusuke NAKAMURA1,3 (1Dept.of Clinical Genetics, Biomed, Osaka Univ., 2 2nd Dept. of Int. Med., Osaka Univ. 3 Human Genome Center, Inst.. Med. Sci., Univ. Tokyo, )

βカテニンはカドヘリンと結合して細胞接着に重要な役割を果たしているとともに、Wntシグナル伝達系の構成要素として細胞の極性決定に関与していると考えられている。大腸癌ではAPCの変異あるいはβカテニンExon3のリン酸化部位に異常が見い出され、GSK3βを介した蛋白の分解阻害が腫瘍形成に重要な役割を果たしていることが示唆されている。われわれが大腸癌で見い出したβカテニンの変異は全てExon3の欠損であったので、今回培養細胞にExon3欠損型の変異βカテニンを導入し、その影響について検討を行った。正常βカテニン及びExon3が欠損した変異βカテニンcDNAを発現ベクターpUHD10-3に組み込み、マウス線維芽細胞(L細胞)に導入した。ウェスタン法では正常型遺伝子導入ではβカテニン蛋白の蓄積は認めなかったが、変異型の発現細胞では分子量の小さいβカテニンの細胞内への蓄積が認められた。また変異型発現細胞では細胞接着の増強、細胞突起の減少など形態に変化がみられ、発育形式では細胞の重層化傾向がみられた。細胞倍加速度およびFACSによる検討では正常L細胞との間に明らかな差を認めなかったので変異βカテニンの蓄積は細胞形態を変化させ、発育形式に影響を及ぼしていることが示唆された。この変化が大腸腫瘍の発生に重要な役割を果たしていると考えている。