ABSTRACT 245(5-5)
AxinとAPC、GSK-3β、β-cateninの複合体形成:小山眞也,岸田想子,池田 聡,岸田昭世,菊池 章(広島大・医・生化)
Axin makes a complex with APC, GSK-3β, and β-catenin: Satoshi IKEDA,Michiko KISHIDA,Shinya KOYAMA,Shosei KISHIDA,Akira KIKUCHI (Dept. of Biochemistry, Hiroshima Univ. Sch. of Med.)
私共がGSK-3βと結合する蛋白として同定したAxinはGSK-3βとβ-cateninに同時に結合し、GSK-3βによるβ-cateninのリン酸化を促進する。リン酸化によりβ-cateninはユビキチン化とプロテアソームでの分解をうけると考えられており、Axinはこの段階で作用していると推定される。一方、癌抑制遺伝子産物APCもGSK-3βとβ-cateninに結合することが見出されている。また、大腸癌で見られるAPCの変異によってβ-catenin量が増加することが知られている。しかし、APCとAxinのβ-cateninの分解における関係は不明である。この点を明らかにするためにAxinがβ-cateninを介してAPCと複合体を形成するか否かを解析したところ、AxinはN末端側に存在するRGS (regulators of G protein signaling)相同部位でAPCの20アミノ酸リピートの中央部に直接結合した。COS細胞にAxinを発現させると、Axinはゲル濾過クロマトグラフィー上分子量670 kDa以上の複合体と440 kDaの複合体を形成し、高分子量の複合体にはAPC、β-catenin並びにGSK-3βが、低分子量の複合体にはGSK-3βが含まれていた。さらにCOS細胞にAxinを発現させるとβ-cateninの分解が促進された。したがって、AxinはAPCと結合することにより共同してβ-cateninの分解を制御することが示唆された。