ABSTRACT 246(5-5)
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核内リン酸化蛋白質Sam68とAPCの結合: 石館宇夫1,2,松峯昭彦1,豊島久真男3,秋山徹1,21阪大・微研・発癌制御,2東大・分生研・分子情報,3大阪成人セ)

APC interacts with Sam68, a nuclear phosphoprotein with an adaptor like function: Takao ISHIDATE1,2, Akihiko MATSUMINE1, Kumao TOYOSHIMA3, Tetsu AKIYAMA1,2(1Dept.of Onc.Res., Res. Inst. for Microb. Diseases. Osaka U., 2Dept. of Molecular and Genetic Information, IMCB, Univ. of Tokyo, 3Osaka Med. Ctr. for Cancer and Cardiovascular Diseases)

APC遺伝子は家族性腺腫性ポリポーシスおよび大部分の大腸癌で変異が見つかる癌抑制遺伝子であり、細胞質および核に局在する分子量約300kDの巨大な蛋白質をコードしている。APC蛋白質は細胞質においてArmadillo/β-catenin やDlgと結合しWntシグナルの伝達に関与している事が知られているが、核内におけるAPCの役割は不明である。今回我々は酵母の2-hybrid systemを用いて、新たなAPC結合蛋白質のスクリーニングを行い、M期特異的にSrcと結合しチロシンリン酸化を受ける核内RNA結合蛋白質Sam68が、APCのアルマジロリピート領域と結合することを見出した。Sam68/APC複合体は細胞周期を通じて存在していたが、M期にAPCと結合するSam68はチロシンリン酸化を受けていた。興味深いことにSrcのキナーゼ活性がAPCと共沈することが見出され、Sam68はAPCとSrcの両者と結合するアダプター分子として機能すると考えられた。これらの結果から、M期におけるSrcのシグナル伝達経路にAPCが関与している可能性が示唆された。