ABSTRACT 247(5-5)
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ヒト肺がんにおけるPTENがん抑制遺伝子の不活性化:河野隆志、高橋身奈、萬田緑平、横田 淳(国立がんセ・研・生物)

Inactivation of the PTEN gene in human lung cancer:Takashi KOHNO, Mina TAKAHASHI, Ryokuhei MANDA and Jun YOKOTA(Biol. Div., Natl. Cancer Ctr. Res. Inst.)

昨年、脳腫瘍、乳がん等における第10染色体長腕の欠失領域から新しいがん抑制遺伝子PTENが単離された。私たちは以前、肺がんのアレロタイプ解析を行い、肺小細胞がんの40%、肺非小細胞がんの30%で、第10染色体長腕の欠失(LOH)が生じていることを見いだした。そこで、今回私たちは、肺がん細胞株40例、手術検体47例を対象にPTEN遺伝子のゲノム異常の検索を行い、肺がんにおけるPTEN遺伝子の不活性化について検討した。その結果、PTEN遺伝子の異常は、肺がん細胞株40例中、ホモ欠失8例、ミスセンス変異1例、ナンセンス変異1例の計10例(25 %)、肺がん手術検体47例中、ホモ欠失1例、ナンセンス変異1例、フレームシフト変異1例の計3例(6.4 %)で検出された。以上の結果は、PTEN遺伝子がヒト肺がんの発生あるいは進展においてがん抑制遺伝子として機能していることを示唆している。現在、正常型PTEN遺伝子を肺がん細胞株に導入し、増殖抑制効果について検討を進めている。