ABSTRACT 248(5-5)
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子宮内膜癌におけるPTENの高頻度の異常:鈴木昭彦1,2、桜田晃1、吉永浩介1、大内憲明2、里見進2、堀井明1(東北大・医・1分子病理、2二外)

Frequentsomatic mutations of PTEN in human endometrial carcinomas: Akihiko SUZUKI1,2,Akira SAKURADA1,Kousuke YOSHINAGA1,Noriaki OHUCHI2,Susumu SATOMI2, and Akira HORII1 (Depts. 1Mol. Pathol., 22nd Dept. Surgery, Tohoku Univ. Sch. Med., 3Thorac Surg., Inst. Dev. Aging, Cancer, Tohoku Univ.)

PTENは第10番染色体長腕(10q23.3)にマップされ、癌抑制遺伝子と考えられている。我々は、これまでに子宮内膜癌での第10番染色体長腕の高頻度の欠失を報告してきており、今回子宮内膜癌の発癌過程に於けるPTENの異常の関与を明らかにする目的で、遺伝子異常の解析を行った。合計39例の子宮内膜癌を用い、PCR-SSCP 法、さらに全翻訳領域のsequenceを行ったところ、PTENの変異は39例中22例に検出され、その種類としては、nonsense変異もしくはframeshift変異といった蛋白合成の中断を招く変異が多い傾向があった。遺伝子異常と臨床病期,組織型との間に有意な相関は見られず,初期の段階から、また、endometrioid typeにおいては、いずれの分化度の癌においても、高頻度に異常が検出された。さらに、一方のalleleの異常と同時に対側alleleの欠失を示した症例が8例、2ヶ所の変異を検出できたものが5例あり、これらの腫瘍においては2-hit による遺伝子機能の喪失が推察された。microsatellite instability陽性の子宮内膜癌においては14/18 (78%) の症例に遺伝子変異を認め、特にexon 7、8に存在する翻訳領域内の繰り返し配列において異常の頻度が高く,PTENがMI陽性の子宮内膜癌の発癌過程において標的遺伝子となっている可能性が示唆された。