ABSTRACT 249(5-5)
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子宮体癌にて同定された13種の新規PTEN遺伝子体細胞変異:黒瀬圭輔1,2,坂東功一1,吹野晃一1,横田 隆1,小西英喜2,米山剛一2,土居大祐2,太田雄治郎2,荒木 勤2,江見 充1(日本医大・1老人研・分子生物,2産婦)

Identification of 13 novel somatic mutations on PTEN gene in endometrial cancer: Keisuke KUROSE1,2,Koichi BANDO1,Koichi FUKINO1,Takashi YOKOTA1,Hideki KONISHI2,Koichi YONEYAMA2,Daisuke DOI2,Yujiro OHTA2,Tsutomu ARAKI2,Mitsuru EMI1 (1Dept. Mol. Biol. Inst. Gerontol.,2Dept. Obstet. Gynecol.,Nippon Med. Sch.)

[目的]近年,子宮体癌において高頻度なLoss of heterozygosity (LOH)が報告されている10q23領域において,新たな癌抑制遺伝子としてPTEN遺伝子が単離され,現在までに脳腫瘍をはじめとする様々な癌において変異が同定されてきた.今回我々は,日本人子宮体癌患者におけるPTEN遺伝子の変異および10q23領域のLOHについて検索したので報告する.[方法]日本医大産婦人科にて摘出した子宮体癌46症例を用いた.PTEN遺伝子の全翻訳領域およびexon-intron領域をカバーするようにprimerを設計し,PCR-SSCP法にて異常バンドを検出した.異常バンドを示した症例につきdirect sequence法を行い,PTEN遺伝子の変異を同定した.また,PTEN遺伝子周辺の3個のマイクロサテライトマーカーを用いてLOHの有無につき検討した.[結果・考察]今回解析した子宮体癌46症例中15例(33%)においてPTEN遺伝子における新規体細胞変異13種を同定し,19例 (49%)においてLOHを認めた.以上より,PTEN遺伝子の体細胞レベルでの両方の対立遺伝子の不活化が,子宮体癌発生において重要な役割を果たしていることが明らかとなった.