一般演題

一覧　トップ

Astrocytic tumor におけるPTEN およびp16遺伝子異常と抗癌剤感受性との相関 ：岩立康男¹、望月重信²、藤本修一³、難波宏樹^４、吉田有⁵、田川雅敏²、崎山樹⁶、山浦晶^１ (千葉大・医・¹脳外科、 ⁵一内科、 千葉がんセ・²病理、³化療、⁴脳外科、⁶生化)

Association of PTEN and p16 gene mutation with chemosensitivity in human astrocytic tumors : Yasuo IWADATE^１, Shigenobu MOCHIZUKI², Shuichi FUJIMOTO³, Hiroki NAMBA^４,Yu YOSHIDA^５, Masatoshi TAGAWA², Shigeru SAKIYAMA⁶, Akira YAMAURA^１(¹Dept. of Neurosurg. and ⁵Internal Med., Sch. of Med., Chiba Univ., Div. of ²Pathol., ³Chemother., ⁴Neurosurg., and ⁶Biochem., Chiba Cancer Center)

【目的】我々はこれまでにp53遺伝子の異常が抗癌剤感受性を一般に低下させることを報告してきた。今回は、astrocytic tumor 発生に関わるp53以外の癌抑制遺伝子であるPTENおよびp16遺伝子の異常が抗癌剤感受性に及ぼす影響について検討した。
【対象と方法】手術時に得た凍結標本62例( astrocytoma gradeII:12例,gradeIII:11例, grade IV:39例 )からDNAを抽出し、p16遺伝子のexon1,2に関するmutation の有無をPCR-SSCP、homozygous deletion の有無をmultiplex PCR により検討した。PTEN遺伝子に関しては、exon1からexon9のPCR-SSCPによりmutationの有無を検索した。同時に、これらの症例から腫瘍細胞を培養し、30種類の抗癌剤に対する感受性を、 propidium iodideを用いたflowcytometry にて検索した。
【結果】PTEN遺伝子異常のある腫瘍では全体に抗癌剤感受性が高く、特にアルキル化剤、代謝拮抗剤、トポイソメラーゼ阻害剤において有意に高い感受性を示した。p16遺伝子異常のある症例も同様の傾向を示し、代謝拮抗剤においては統計学的有意差を認めた。
【結論】astrocytic tumor におけるPTEN遺伝子、p16遺伝子の異常は、いずれも抗癌剤感受性の増強をもたらすことが示唆された。