ABSTRACT 265(5-7)
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RTーPCR法を用いた新規癌抑制遺伝子の探索:松田覚1、奥田隆仁2、中津川重一2、浜口道成11名大・病態研・分子病態、2名大・医学部・放射線)

Detection and gene cloning of a novel molecule similar to anti-oncogene products: Satoru MATSUDA1, Takahito OKUDA2, Shigekazu NAKATSUGAWA2, Michinari HAMAGUCHI1 ( 1Dept. of Molecular Pathogenesis, Nagoya Univ. School of Medicine, 2Dept. of Radiology, Nagoya Univ. School of Medicine )

最近の研究により、癌遺伝子や癌抑制遺伝子などの細胞増殖に直接関わる分子をコードする特殊な遺伝子が、癌の発症や悪性化に深く関与していることが明らかになってきた。中でも癌抑制遺伝子がコードする蛋白質は、細胞の増殖を適切にコントロールして細胞の癌化を防いでいると考えられている。事実、多くの癌細胞では癌抑制遺伝子に変異が見いだされ、本来の機能が果たせない状態にあると推測される。
癌抑制遺伝子にはいくつかの種類が知られているが、p53やBRCA1は、代表的な癌抑制遺伝子である。最近、p53に類似する分子p73が発見され、それぞれはファミリーを形成している可能性がある。今回、我々はp53/p73 やBRCA1/BRCA2 の共通遺伝子配列からユニークなディジェネレートプライマーをデザインし、RTーPCR法を行いこれらのファミリーに属する新しいメンバーの探索を行った。
その結果約300クローンを解析して見い出された新規遺伝子のひとつは、予想アミノ酸配列上でBRCA1とhomology 57%, Identity35%を示した。また、この遺伝子から新たにプライマーを設定し、ラディエーションハイブリッドパネル法によるクロモゾームマッピングを施行した。この結果、従来リンケージ解析やLOH解析から予想されている乳癌の新たな癌抑制遺伝子の位置にマップされた。これらのことから、得られた新規遺伝子は新たなBRCAのファミリーメンバーをコードしている可能性が示唆された。