ABSTRACT 266(5-7)
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Differential Display法により単離した膵臓特異的遺伝子(TSA305)の遺伝子解析: 原田陽介1,尾崎浩一1,鈴木幹生,中村祐輔2,藤原 力1,(1 大塚製薬・大塚GEN研究所,2東大・医科研・ヒトゲノム解析センター)

Molecular cloning and characterization of a Pancreas specific gene, TSA305, identified by Differential Display technique: Yosuke HARADA1, Kouichi OZAKI1, Mikio SUZUKI1, Yusuke NAKAMURA2, Tsutomu FUJIWARA1, (1Otsuka GEN Res. Inst., Otsuka Pharm. Co., Ltd., 2Lab. Mol. Med., Inst. Med. Sci., Univ. Tokyo)

組織あるいは細胞に特異的に発現している遺伝子は、それら部位での形態の形成や機能維持に極めて重要であり、これらの遺伝子異常が疾患の発症につながることも多い。我々は、疾患関連遺伝子を同定するための一つの手法として、Differential Display法を用いた組織特異的遺伝子の単離を積極的に行ってきた。そのひとつであるTSA305 geneは、膵臓に特異的に発現している遺伝子であり、794アミノ酸をコードしている。この遺伝子は線虫のNotch/lin12のnegative regulatorであるsel-1 geneとのホモロジーが高いことから癌との関連性が強く示唆された。そこで4種類の膵癌細胞株においてこの遺伝子の発現をRT-PCR法にて調べたところ、全例において発現の欠損が認められた。さらに、膵癌症例9例においても同様に調べたところ正常膵臓組織に比べ発現の欠損あるいは低下が観察された。これらの結果は、この遺伝子の発現低下が膵癌の発生に重要な役割を果たしている可能性を示唆している。