ABSTRACT 267(5-7)
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cDNAサブトラクション法を用いたトランスフォーメーション抑制因子の分離:吉岡直寿1,中西一吉1,井上寛一1,湯通堂満寿男1,野島博2,羽倉明11阪大・微研・腫瘍ウイルス、2阪大・微研・分子遺伝)

cDNA cloning of transformation suppressor genes by cDNA subtracted method: Naohisa YOSHIOKA , Kazuyoshi NAKANISHI, Hirokazu INOUE, Masuo YUTSUDO, Hiroshi NOJIMA, Akira HAKURA (1Dept. of Tumor Virol., Res.Inst.Microbial.Dis.,Osaka Univ., 2Dept. of Mol. Genet. Res.Inst.Microbial.Dis., Osaka Univ.)

[目的]株化細胞は、一種類のがん遺伝子の導入によって容易にトランスフォームするが、初代培養細胞はトランスフォームしない。我々はこれまでに、細胞融合実験などによってこの原因が初代培養細胞に存在するトランスフォーメーション抑制因子によるものであること明らかにしてきた。今回、これらの抑制因子をクローニングすることを目的として、以下の実験を行った。[方法と結果]ラット胎児初代培養細胞(REF)とその株化細胞(F2408)を用いてcDNAサブトラクションを行い、REFでは発現しているがF2408では発現量が著減している遺伝子を55種類分離した。分離した遺伝子のうち、既知のものは20種類で、残りは未同定のものであった。既知の遺伝子のうち初代培養細胞と数種類の不死化細胞との間で発現量に明確な差のあったLumicanについてトランスフォーメーション抑制能について検討したところ、Lumicanを強制発現させたF2408細胞ではv-K-ras遺伝子の導入による軟寒天培地中でのコロニー形成能が60-90%抑制される結果を得た。分離した遺伝子には機能が同定されていないものや未知のものも多く含まれることから、現在これらの遺伝子のトランスフォーメーション抑制能について検討中である。