ABSTRACT 270(5-7)
ヒト食道扁平上皮癌の高頻度染色体欠失領域9q22.3に座位する新規遺伝子の単離とその解析:福田陽司1,四ノ宮隆1,森俊樹1,坂部智哉1,有山洋二1,月田承一郎2,中村祐輔1,稲澤譲治1 (1東大医科研・ヒトゲノム解析セ,2京大・医・分子細胞情報)
Isolation and characterization of a novel gene localized on the region of 9q22.3 where is commonly deleted in esophageal squamous cell carcinoma: Yohji FUKUDA1,Takashi SHINOMIYA1, Toshiki MORI1, Tomoya SAKABE1,Yoji ARIYAMA1,Shoichiro TSUKITA2,Yusuke NAKAMURA1,Johji INAZAWA1 ( 1Human Genome Center, Inst. of Med. Sci., Univ. of Tokyo, 2Dept.Cell Biol.,Facult. Med.,Kyoto Univ.)
【目的】われわれは細胞接着に関与するα-catenin, vinculin,さらにCENP-Eとアミノ酸レベルで約30%と高い相同性を有する新規遺伝子(phCVE9)の全長を単離し、その構造ならびに遺伝子座を9q22.3と決定した。本領域はヘテロ接合性消失(LOH)の有無の解析より食道扁平上皮癌(ESC)の癌抑制遺伝子座であることが知られている。phCVE9をその候補遺伝子の一つとして、14種類のESC細胞株(TE series)を対象に、RT-PCR-SSCP法で変異の有無を解析した。【結果と考察】SSCP法では14例中5例で2カ所に異常バンドを検出した。塩基配列より、それぞれでVal 141→Val、Glu 527→Glnの変異を確認した。これら変異が多型性であるか否かの確認のために健常人66例を対象に解析したところ、(Val 141→Val)=0.31、(Glu 527→Gln)=0.28の遺伝子頻度で同様の変異を検出した。以上より、α-catenin, vinculin,さらにCENP-Eと相同性を有する新規遺伝子phCVE9はESC癌抑制遺伝子の候補から除外できる可能性が示された。