ABSTRACT 272(5-7)
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スキルス胃がんにおけるK-SAM遺伝子を含む染色体10q26増幅ユニットのコア領域の同定:上田哲也1、3,佐々木博己1,柳原五吉,根津雅彦1,桑原勝孝1,真船健一,幕内雅敏, 杉村隆1, 寺田雅昭11国立がんセ・研・1分子腫瘍, 実験動物管理室,東大・医・2外)

Identification of a core amplified region on 10q26 amplicon containing K-SAM in scirrhous type of gastric cancer : Tetsuya UEDA1、3,Hiroki SASAKI1, Kazuyoshi YANAGIHARA2,Masahiko NEZU1, Yoshitaka KUWAHARA1, Ken-ichi MAFUNE3, Masatoshi MAKUUCHI3, Takashi SUGIMURA1, Masaaki TERADA1(1Genetics Div., 2Cent. Animal Lab., Natl. Cancer Ctr. Res. Inst.,3 2nd.Dept. Surg.,Univ.of Tokyo)

がん細胞の特徴は遺伝子の不安定性であり、がんでは頻繁に遺伝子増幅が起こる。我々はHST1/FGF4遺伝子を含む11q13及びc-ERBB2遺伝子を含む17q12領域の増幅ユニット上の遺伝子を分離・同定し、一般に個々の増幅ユニットには複数の発現遺伝子が存在することを明らかにした。17q12領域の増幅ユニット上の5遺伝子(c-ERBB2, GRB7, CAB1, C51及びA39) のうちc-ERBB2, CAB1, C51がコア領域に含まれている。 スキルス胃がんで特に増幅するK-SAM/FGFR2遺伝子を含む染色体10q26増幅ユニットについては、昨年K-SAM遺伝子の近傍から新たな遺伝子ACS1,ACS2を分離した。今回はBACクローンの末端をプローブとし、BACクローンをwalkingすることにより、スキルス胃がん培養細胞株4例と手術材料1例において、ACS1,ACS2を含めた染色体10q26増幅ユニットのコア領域を定めた。またスキルス胃がん培養細胞株3例において、K-SAM遺伝子のC末端領域の欠失を発見した。これはがんにおいてK-SAM遺伝子が、従来知られているalternative splicing以外にDNAの構造変化によって活性型産物の産生を高めていることを示唆するものである。