ABSTRACT 273(5-7)
SKY法、CGH法による造血器腫瘍細胞に検出したdminのゲノム起源と増幅遺伝子の同定:有山洋二1,福田陽司1,奥野芳章2,大屋敷一馬3,瀬戸加大4,阿部達生5,中村祐輔1,稲澤譲治1 (1東大医科研・ヒトゲノム解析セ,2国立京都病院,3東京医大・内科1,4愛知県がんセ・化療,5京都府立医大・衛生,)
Identification of amplified DNA sequences on double minute chromosomes in neoplastic cells by means of SKY and CGH: Yoji ARIYAMA1,Yohji FUKUDA1,Yoshiaki OKUNO2,Kazuma OYASHIKI3,Masahiro SETO4,Tatsuo ABE5, Yusuke NAKAMURA1,Johji INAZAWA1 ( 1Hum Genome Center,Inst.of Med. Sci,Univ. of Tokyo, 2Natl Kyoto Hosp., 3Tokyo Med. College, 4Aichi Cancer Inst. 5Dept. of Hyg.,Kyoto Pref. Univ. of Med.)
【目的と方法】新しいがん関連遺伝子の同定を目的にCGH法ならびにSKY法で新規の増幅染色体領域の探索を行っている。今回、遺伝子増幅の染色体変化であるdouble minute(dmin)を検出したAML症例、細胞株(KY821親株)を対象に、dminゲノムDNAの構成起源、ならびに増幅領域内遺伝子の同定を行った。【結果と考察】AMLの2例に検出したdminはいずれも第11番染色体DNAで構成されていた。うち1例ではdmin上でMLLが増幅し、さらにexon 6-2のMLL tandem-duplicationを生じていた。KY821はCGHで8q22-24染色体領域に増幅を検出し、dmin上でのMYC(8q24)増幅を明らかにした。【結論】dminを有す腫瘍材料は新規増幅遺伝子単離の貴重なサンプルとなるが、従来このdminを構成する未知ゲノムDNAの由来を明らかにするには煩雑な工程が必要であった。しかし、SKY法・CGH法の導入により構成染色体を迅速に同定できる。これらの技術はがんの進展に関わる新規の増幅遺伝子の単離アプローチにおいて貴重な情報を提供する。