ABSTRACT 275(5-7)
乳癌における第8番染色体長腕増幅領域の解析:横田 隆1,吉本賢隆2,霞 富士雄2,秋山太3,,坂元吾偉3,、中村祐輔4、 江見充1(1日本医大・老人研・分子生物,癌研・病・2外,3,病理,4東大・医科研・ヒトゲノム)
Deletion mapping on chromosome 8p in sporadic breast cancer : Takashi YOKOTA1, Masataka YOSHIMOTO2, Fujio KASUMI2, Hutoshi AKIYAMA3,, Goi SAKAMOTO3,,Yusuke NAKAMURA4 and Mitsuru EMI1(1Dept. Mol. Biol., Inst. Gerontol., Nippon Med. Sch., 2Dept. Surg. and 3,Dept.Pathol. Cancer Inst. Hosp., 4Labo. Mol. Med., Inst. Med. Sci., Univ. Tokyo)
【目的・方法】第8番染色体長腕(8q)領域では、肝癌、大腸癌などの固形腫瘍で染色体増幅が認められ、これらの腫瘍における癌化機序への関与が示唆されている。我々は、散発性乳癌144症例を対象に、8qの広範な領域をカバーする14個のマイクロサテライトDNAマーカ-を用いてmultiplex PCR法にて8qの増幅の有無を調べた。また、臨床病理学的因子との関連性も検討した。【結果】散発性乳癌において8qの増幅は144例中57例 (38%)に認められ、染色体増幅地図の作成により半数以上の症例において8qの全体が増幅していた。また、各症例における増幅地図の検討から8q24に位置するD8S592からD8S1100の間に共通増幅領域を同定した。8qの増幅は、リンパ節転移の認められた症例や充実腺管癌および硬癌で高頻度に認められた。【考察】第8番染色体長腕は、散発性乳癌の1/3以上の症例に認められ、8q24領域に存在する癌遺伝子のコピー数の増加が乳癌の発生・進展に関与することが示唆された。