ABSTRACT 302(5-10)
頭頸部扁平上皮癌における酵母を用いた機能的解析によるp53遺伝子異常の検出:小畑敦1,江浦正郎1,桂文裕1,大礒正剛1,近松一朗1,石川哮1,多田光宏3,佐々木治一郎2,佐谷秀行2(熊本大・医・1耳,2腫瘍医学,3北大・医・脳外)
Detection of p53 gene mutation in head and neck squamous cell carcinoma using yeast functional assay:Atsushi OBATA1,Masao EURA1,Fumihiro KATSURA1,Masatake OISO1,Ichiro CHIKAMATSU1,Takeru ISHIKAWA1,Mitsuhiro TADA3,Jiichiro SASAKI2,Hideyuki SAYA2(1Dept. Otolaryngology,Kumamoto Univ.,2Dept. Tumor Genet. Biol., Kumamoto Univ.,3Dept. Neurosurg.,Hokkaido Univ.)
【目的】頭頸部扁平上皮癌におけるp53遺伝子異常について調べ臨床的因子との関係について検討する。【方法】p53遺伝子異常について酵母を用いた機能的解析を行った。頭頸部癌組織よりmRNAを抽出し、RT-PCR法にてp53(exon4〜9)を増幅した。この増幅したp53遺伝子の組み込んだベクターをp53結合DNA領域の下流にレポーターとしてADE2遺伝子をもつ酵母内で発現させることにより、変異p53は正常の転写活性をもたず赤いコロニーを、野性型p53はADE2遺伝子が活性化され白いコロニーを形成するので赤いコロニーの割合にて機能的変異を判定した。その後colony PCRを行うことにより変異部位の検索も行い、また免疫組織化学検査の結果と比較した。【結果】頭頸部癌患者104例中69例(66%)がp53遺伝子の機能的異常と判断された。部位別では過去の報告のように上咽頭では変異の頻度が低かったが、他の部位には差はみられず60〜70%であった。変異部位は過去の報告にあるように248に多く認められた。また、予後との比較を行い中咽頭癌においては機能的異常を認める群が有意に予後が悪かった。【考察】p53遺伝子変異は頭頸部扁平上皮癌における予後因子として有用であると考えられた。