ABSTRACT 312(5-10)
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野生型p53発現アデノウイルスによる各種ヒト癌細胞株のアポトーシス誘導機構の解析:中谷宇一郎1、2、山野茂1、進藤正信1、小田島哲世1、高橋稔3、新津洋司郎3、小浜源郁2、藤永恵1、時野隆至1、山下利春11札幌医大・癌研分子生物・2口腔外科・3四内)

Analysis of apoptotic mechanism of human cancer cell lines by recombinant adenovirus expressing wild-type p53 : Uichiro NAKAYA1,2, Shigeru YAMANO1, Masanobu SHINDOH1, Tetsuyo ODAJIMA1, Minoru TAKAHASHI3, Yoshiro NIITSU3, Gen-iku KOHAMA2, Kei FUJINAGA1, Takashi Tokino1 and Toshiharu YAMASHITA11Dept. Mol. Biol., Cancer Res. Inst, 2Dept. Oral Surg. and 34th Dept. Int. Med., Sapporo Med. Univ. Sch. Med.)

野性型ヒトp53を発現する組み換えアデノウイルスを作製し、p53によるアポトーシス誘導の細胞側因子を解析した。口腔癌(1種類)、乳癌(3種類)、肺癌(1種類)由来の各細胞株およびコントロールとしてMRC-5の計6種類の細胞株にp53組み換えアデノウイルスを感染させ、48時間後にDNA断片化の有無を検討した。その結果、乳癌細胞株のBT549とZR-75-1、肺癌細胞株のRERF-LC-OKにDNA断片化が観察された。口腔癌細胞株のHSC-3は野生型p53の導入によって増殖抑制が認められるが、DNA断片化は認められなかった。HSC-3細胞だけでなく、野性型p53の発現によりアポトーシスを起こした癌細胞株(BT549, ZR-75-1, RERF-LC-OK)においてもp53の発現に伴いp21waf1/cip1の誘導が認められた。従って、p53発現によりアポトーシスを起こす細胞株でもp53によるp21waf1/cip1誘導の経路は働いていること、またp21waf1/cip1の発現はアポトーシス誘導を阻害しないことが示唆される。現在p21waf1/cip1発現アデノウイルスを用いて、これらの癌細胞株におけるp21waf1/cip1発現後の細胞周期停止の有無と、p53によるアポトーシスに対するp21waf1/cip1の高発現の影響を検討している。