ABSTRACT 313(5-11)
癌抑制遺伝子p53の類似遺伝子p51のクローニングと機能解析:長田元伸1. 2,川原央1,石岡千加史2, 金丸龍之介2, 中川原章3,井川洋二4,帯刀益夫1, 井川俊太郎1(東北大加齢研分子発生1, 癌化学療法2, 千葉県癌センター生化学3, 東京医科歯科大感染分子4)
Cloning and functional analyses of novel p53 related gene, p51. Motonobu OSADA1.2, Chikashi KAWAHARA1, Chikashi ISHIOKA2, Ryunosuke KANAMARU2,Akira NAKAGAWARA3, Yoji IKAWA4, Masuo OBINATA1 and Syuntaro IKAWA1 (1Dept. of Cell Biology , 2Dept. of Clinical Oncology IDAC. Tohoku Univ. , 3Div of Biochem. Chiba Cancer Center Res. Int. ,and 4Dept. of Retroviral Regulation, Tokyo Med. Dent. Univ. )
Degenerate PCRによって新規p53癌抑制遺伝子の類似遺伝子断片を得、これをプローブとして、ヒト骨格筋cDNAライブラリーより主要な転写産物3Kbと4.4Kbに対応するcDNAクローンを2種類単離した。それぞれ、448アミノ酸(51KDa = p51A)と、641アミノ酸(72KDa=p51B)をコードし、N末の410アミノ酸が共通である。DNA 結合領域でp51はp53に60%、p73に87%の相同性がある。mRNAの発現パターンは臓器特異性があり、主に骨格筋と胎盤で強い発現が、ついで前立腺、乳腺、胸腺での発現が認められた。また、その他にもスプライシングの違いによる転写産物が複数存在した。
p51はp53結合配列を介する転写能、内在性のp21WAF1の誘導能、細胞のアポトーシス誘導能を有する点で機能的にもp53、p73と類似していた。ヒト染色体3q28に位置し、予備的な検索ながら数個の上皮性腫瘍で点突然変異が検出された。現在より広範な腫瘍での変異の検索、p51プロモーターの解析を展開している。