ABSTRACT 315(5-11)
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腫瘍抑制遺伝子p53と相同性の高い第2のヒト遺伝子p73Lに関する報告: 妹尾誠1、関直彦2、大平美紀2、菅野純夫3、渡辺学3、立花誠1、田中貴、真貝洋一1、加藤宏幸11日本ロシュ・鎌倉研・分子腫瘍、2かずさDNA研・遺伝子機能II、3東大・医科研・ウイルス)

A report on a second p53-related protein p73L : Makoto SENOO1, Naohiko SEKI2, Miki OHIRA2, Sumio SUGANO3, Manabu WATANABE3, Makoto TACHIBANA1, Takashi TANAKA1, Yoichi SHINKAI1, Hiroyuki KATO1 (1 Dept.of Mol.Oncol., Nippon Roche Res.Ctr., 2 Lab.of Gene Funct.II, Kazusa DNA Res.Inst., 3 Dep.of Virol.,Inst.of Med.Sci.,Univ.of Tokyo)

p53はさまざまなストレスに応答し、アポトーシスや細胞周期を調節する重要な遺伝子を転写レベルで制御することにより腫瘍抑制遺伝子として機能している。しかしながら、p53の変異だけでは説明できないヒト癌も多く存在し、またp53ノックアウトマウスでは限られた腫瘍スペクトラムしか観察されないことなどの事実は、p53類縁の腫瘍抑制遺伝子の存在を示唆するものと考えられる。最近、Kaghadらはp53類縁遺伝子であるp73を同定し、神経芽腫との関連を報告した。我々は、このp73に続く第2のp53類縁遺伝子p73Lをヒト膀胱癌由来cDNA libraryからクローニングし、3q27-28に位置することを確認した。p73Lの推定DNA結合部位はp53、p73との間でそれぞれ61%、88% 保存され、特にホットスポットと呼ばれるp53の高頻度変異部位はp73と同様、p73Lにおいてもほぼ完全に保存されていた。一方、推定MDM2結合部位はp73には存在するが、p73Lには存在しなかった。このことから、p73Lの転写後調節はp53およびp73とは異なるものと推測された。また、Northern blotの結果、p73とp73Lの発現様式は明らかに異なり、これらのことからp73とp73Lは異なった臓器において異なった役割を演じていることが示唆された。現在、転写調節を中心としたp73Lの生物学的機能について検討している。